Interview
縁の下の力持ち。
経験とアイデアで困難を乗り越える。
機関部
S.I.
機関部の主な業務内容は?
エンジンの運転・保全・整備の3つがメインです。
僕たちは主機っていうメインエンジンと呼ばれるものと、発電機や補機類っていう、小さいボイラーやコンプレッサやモーターなどを整備しています。
年に1回はドックに入って船の点検もしています。車の車検のようなものですね。
メインはドックの職工さんたちがやってくれるんですけど、プラスアルファ自分たちでも船の整備をしています。
機関部と甲板部の違いは何ですか?
甲板部の方はエンジンの仕事じゃなくて、上のブリッジで舵を取ったりとか、どのコースを運航するかを決めたり、というのがメインです。
例えば、ちょっと溶接するときに手伝ったりと一緒に仕事もしますが、たまにあるかないかくらいですね。基本的には完全に別々に仕事をしてるって感じですね。
ドックの整備は年1回ですか?
年1回は絶対どっかで入りますね。普段運航してるときって時間がないんですよ。
機械が動いてない時に整備したいんだけど、時間が取れないので、ドックに入ったときには入念に整備・点検をしています。
もちろん運航中も整備や点検はしています。
停泊している時も、気が休まるタイミングがありませんか?
機械って「今から壊れます」って教えてくれないんですよね(笑)
いつ壊れるか分かんないんですよ。だから心休まる時間がないというか。
定泊している時は動いている機械が少なくなるので、そっちの方が気持ちは楽にはなるんですけど、それでもやっぱずっと緊張しっぱなしですね。
寝ているときもトラブルなどはありますか?
トラブルは起きますね。本船は延長警報装置という装置が入ってるんですけど。
機械がおかしい、調子が悪いぞとなった時にはモニターで表示されて、自分たちが寝てる部屋でもスピーカーから音が聞こえるんですよ。その時は起きて対応しています。
縁の下の力持ちみたいな役割ですね。
入社したきっかけや決め手はなんですか?
僕は中途採用なんですけど、前の会社を辞めた時はちょうど子供が1歳とか2歳ぐらいの時でした。僕自身も子供が好きでかわいいんで、休暇と乗船のバランスを考えてたんですよね。
その時に岡本海運の【40日働いて20日休む】サイクルが良いなと思って。他社ではあまりないし稀有な会社なんで、一番の決め手はそこですね。
前の会社でも同じく機関部でしたか?
そうです。職は変わらず会社が変わった感じですけど、ライフスタイルが変わったっていうのが一番大きいかなと思いますね。
1日のスケジュールは決まってますか?
ちょっと決まってないですね。出入港の時間に合わせて、起きる時間や寝る時間が決まるので。
定期的なスケジュールで組んだ船もありますが、本船は不定期なので、決まったスケジュールっていうのはありません。
エンジン関係は特にそうなんですけど、機械のトラブルが発生した時はぶっ続けで仕事をしていますね(笑)
でも、それもありきの仕事なので。確かに体はちょっと疲れますけど、精神的には全然大丈夫です。
今までで一番大変だったことはありますか?
エンジンのトラブルで寝ずに対応していたときが一番大変でしたね。
それを乗り越えたときに、最初の2〜3年目って達成感とか感じるんですけど、8年目ぐらいになると、達成感とかあんまり感じなくなってくるんですよね。
「無事に終わったな」って、全部直して「よし、いけたな」というタイミングでトラブルなく動き始めてくれた時は達成感というか、安心する感じですね。
機関長のすぐ下のファーストエンジャーという立場で仕事をさせてもらっていて、第一に「船を止めない・運行を止めない」という目標でみんな仕事に取り組んでいます。
トラブルが起こった時も、みんなで一丸となってトラブルを解決したときにはやっぱり達成感というか一体感が出てくるかなと思います。
仕事を楽しんでる瞬間ってありますか?
トラブルが起こった時に、エンジニアって自分の引き出しを持っているんです。その引き出しが3つなのか4つなのかで目線が変わるじゃないですか。解決策がパッて思い浮かんだり、機関長と「こうやったら直るんじゃないの?」っていう意見がお互いに出た時とかは、なかなかきますね(笑)快感というか「ここまでひらめけたか〜!」っていうような感じになりますね。
機関部には職人気質の方が多いですか?
そうですね。僕自身はそうとは思わないんですけど、一緒に乗られている機関長のお二人とも職人気質ですね。職人肌の人で、自分が納得するまで仕事をするので、そういう姿勢は自分も見習っていきたいですね。
岡本海運に入社して伸びたスキルや成長を感じる部分は?
良くも悪くも、すごく大きな会社じゃないので、自分たちで判断してやる仕事が多いです。さっき言ってた”引き出し”も、自分でも増えてきたなぁって実感してますね。
機関部も大勢人数がいるわけではないので、お互いに意見を出し合って、協力してやっています。
職場環境について、人間関係や食事面などはいかがですか?
食事は司厨長、料理を作る専門のコックさんが乗って仕事をしてくれて美味しいです。
職場環境も、みんなお互いに協力して仕事をしているし、環境的にはすごくいいですね。チームワークがすごく良いなと思います。
休日の過ごし方は?
基本的に釣りに行ってますね。海も魚も好きですし。
あとは子供と遊ぶとか嫁さんを楽させるとか。40日は仕事であけているので、20日間は子どもと遊びたいし、嫁さんにも楽させたい。自分も息抜きしたいのでそこはちょっと難しいですけど、基本的にそんな感じですね。
ご家族の理解はいかがですか?
40日乗船の20日休暇なんですけど、たまにそれが60日乗船になったり、長くなるタイミングがあったりするんです。その時は息子が6歳くらいなんですが、「パパに会いたいな」ってなることもあります。けど今はWi-Fiもあってテレビ電話とかで顔見て喋ったりしていますね。その分、休暇では思いっきり遊ぶし、家族に支えてもらってますね。
船にWi-Fiがあったりするのも、ありがたいですよね。
一番話をする相手や困った時に頼る方はいますか?
機関長の2人ですね。おふたりは話をすごく聞いてくれますね。「君がそう思うなら、それで一回試してみようか」とか。
仕事以外にも、お互いに近況報告とか「休暇の時にどこ行った?」とか、そんな話で盛り上がったりしますね。
船内で気に入ってる場所とか空間はありますか?
やっぱり自分の部屋ですね(笑)
一番安らげるというか、落ち着ける場所です。
ストレス解消やリラックス方法は?
ありきたりですけど動画を見たりとかゲームしたりとか、小説読んだりとか。
食堂でみんなでゲームしたりもしますね。テレビや映画もみんなで見たり、ゲームをして遊んだり、いろいろやってます(笑)
将来のビジョンや目標は?
早いうちに機関長になって、と言いたいところなんですけど、まだまだ自分でも経験不足だなって感じる部分が多いですね。
8年ほどやってますが、まだまだなんで。今上に信頼できる2人がいるので、2人の仕事や考え方を吸収して、会社から声がかかって自分でも大丈夫だなって判断できたときには、チャレンジしたいなと思ってます。
機関長はどういったポジションですか?
全ての決定権が機関長にあるので、裏返すと全て責任を負うということになります。部下のミスも自分のミスになる。あとは管理者として部下たちを休ませないといけないですね。「ちょっと働き過ぎやから、今日はもう上がろう」というような声のかけ方とか。
僕は仕事し始めたら、たまに部下を置いてけぼりみたいになってる時があるんで、そこらへんも自分では反省だなって思っています。
応募したのは求人を見たり、ホームページからですか?
僕の場合は会社から連絡をもらったんです。
船乗りはみんなそうなんですけど、海運局に自分から求人を出すんですよ。そこで会社の人たちが見て、この子欲しいなと思ったら連絡がきます。大体そのパターンだと思いますね。
岡本部長も「一回顔合わせて喋ろうよ」って。本社は広島県の福山なんですけど、「旅費も交通費も全部出すから、旅行がてら来てもどう?」と言ってもらって、面談をしましたね。
船乗りを目指したきっかけは?
僕の地元が漁師が多くておじいちゃんも漁師だったんです。そういう影響で、もう船に憧れてましたね。
あとは、個人的にバイクとか車が好きなんで、エンジンを触るような仕事に就きたいなって思って。休日もバイクとかのエンジンを触って遊んでます(笑)
岡本海運を一言で表すなら何ですか?
“風通しのいい会社”だと思います。意見を言った時にも、会社としての判断をすぐにその場で聞けるので、会社との距離が近いなと感じます。すごい風通しがいい会社だなと。
「よし、やる」と。船員が必要なものと言うんやったら、多少のお金は惜しまないよっていうスタイルで対応してくれるので。
僕が入社した時からずっとそうでしたね。風通しのいい社風だなと思いますね。
最後に岡本海運に入社しようかなと悩まれている方に一言メッセージをお願いします
人間関係はギスギスしたような会社じゃないし、基本的に乗船と休暇のサイクルも40日20日。
仕事に関しても、みんな手取り足取り教えてくれる人ばかりですし、岡本海運に来ていただけるならありがたいなと思いますね。
あまり認知されていない仕事だし、慢性的な人材不足がずっと続いている業界です。
でも日本って島国じゃないですか。船がなかったら貿易もできない。コンクリートやセメントも、陸でトラックに乗せて走るより、船で一気に大量に運ぶ方がコストとかも下がります。
ご飯や服やガソリンとか、身近なものもこういった仕事に支えられている部分もあるので、その重要さを知ってもらって船乗りを目指す子が増えてくれたなと思います。